リノケロスフマタマタクワガタ
飼育記録
学名:Hexarthrius rhinoceros
主な産地:インドネシア(ジャワ島、スマトラ島、メンタウェイ島)
フタマタクワガタの中ではかなり大型になる種で、最大で10㎝を超えます。
学名にもある「rhinoceros」は動物の「サイ」の意味であり、
左右の大顎の間にある出っ張り(頭楯、とうじゅんと読む)が
サイの角のように見えることから名づけられています。
メンタウェイ島産は滅多に見かけることがありませんが
ジャワ島産、スマトラ島産はしばしば見かけることがあります。
中でもスマトラ島産は大顎が真っ直ぐ伸びる「ガルーダ」、
弧を描くように湾曲する「バロン」の2タイプがおり、どちらも迫力があり人気があります。
いずれにおいても気性は荒く凶暴なため、
繁殖の際にはメスが殺されないように注意する必要があります。
2023年5月5日 笹食ってる場合じゃねぇ!

2023年のゴールデンウィーク直前、
東京のとある昆虫専門店の入荷情報が
更新されました。その中に
本種が入荷したとの情報があり、
フタマタクワガタの中でも本種を絶対に
飼育したいと考えていた私は
すぐさま行動開始。様々な準備をして
現地へ向かいました。
ショップへ駆けつけた時にはまだ数ペアが
いましたが、その中でも
足の爪の鋭さなどを見てオスメスともに
元気な個体を購入しました。
翌日の夕方には新潟へ戻り、
産卵セットを作成したところ、
無事に6匹の幼虫を得られました。
期待と不安を抱きつつ飼育します。
2024年6月6日 メスの羽化と徘徊する幼虫

最初に蛹化した個体が羽化しました。
予想通りメスで、特に異常はなさそうです。
オスと思しき幼虫は4匹
(残りの1匹はメスの蛹)なのですが、
その4匹とも「何故か潜らない」という
謎の挙動をしています。
マットを新鮮な物に変えても潜らず
ずっと上に出ている状態で、
このような動きは初めて見ました。
本来であれば飼育環境が気に入らなかったり
病気を患っていたりなどが
考えられるのですが、体を見ても健康で、
マットも食べているようで
フンも見られるので、原因がわかりません。
調べてみると「フタマタクワガタはそうなることがある」とのことでした。
原因は不明ですが、何らかの要因により
地上に出てきて潜らなくなり、そうなると
大きく成長はしないとのこと。
しかし「無事に羽化することが多い」
そうなので、じっくりと
様子を見ていきます。

2024年6月23日 追加の2匹
地上で徘徊している幼虫4匹の内、
2匹が蛹になろうとしていました。
どちらも体が小さいのでメスの可能性が高いですが、メスの特徴がみられなかったので
小型のオスである可能性もあります。
4つのケースは全てにコバエが多少ながら
いたので、近日中に幼虫になっているものは
マットの交換をし、蛹化を控えた2匹は
人工蛹室へ移動させます。
2024年6月28日 2匹で仲良く

25日に2匹の幼虫を園芸用の吸水スポンジを蛹室の形にくり抜いた人工蛹室へ
投入していましたが、
この日に確認するとどちらも蛹化しており、オスメス1匹ずつであることが
わかりました。
オスは親と比べると小さいですが、
不自由なく蛹化したことに感謝です。
現在はまだ2匹幼虫がいますが、片方は体が黄色く蛹化が近いと思われるものの、
もう片方は白っぽく蛹化はまだ
時間がかかりそうです。とはいえ白い方は
地上徘徊とはいえなかなかの大型なので
楽しみにしながら待ちます。

2024年7月24日 お先に失礼
6月28日に蛹化した個体の内、
メスが無事に羽化していました。
オスも体に色がついており、
1週間以内には羽化すると思われます。
残り2匹の幼虫は、
1匹が蛹化してメスだと判明、
もう1匹はまだまだ幼虫でした。
オスよりもメスの数が多いのですが、
その分次世代が残せるチャンスが増える
ということでもあるので、先に羽化した
子達も含めて、じっくりと成熟を待ちます。

2024年8月17日 今度こそは
ヤフオクを眺めていると、スマトラ島産の
個体の出品を見つけました。
チャンスと思い入札したところ、そのまま
落札。この日に我が家に届きました。
サイズはオスが60㎜強、メスが40㎜ほどと
どちらかと言えば小柄なサイズ。
ワイルド個体なので状態が不安でしたが、
爪は鋭く足もしっかりしており一安心。
来週には産卵セットを組みたいので、
それまでにオスの顎を縛って同居させます。

2024年9月1日 お手軽セット
頃合いなので産卵セットを作成しました。
リノケロス、もといフタマタクワガタの
産卵セットは非常に簡単で、
底数㎝に微粒子のマットを固詰めし、
その上に柔らかめの産卵木を置くだけ。
私の場合は安定させたいので産卵木の
下半分が埋まるくらいまで追加でマットを
入れています。これでメスが材を
気に入れば、表面を齧って産卵します。
運が良ければ産卵の様子を見られる
そうですが、そこまで高望みはせず
無事に産卵してくれることを祈ります。
2025年5月7日 三度目の正直

以前に購入したメスはなかなか産卵せず、
坊主の結果のまま亡くなってしまいました。
そして迎えたゴールデンウィーク直前、
例のお店に入荷情報が。
3日の開店と同時にお店の中を探すと2ペアが残っており、その内の1つをすぐさま購入。
前回はベンクール産でしたが、今回は
「スマトラ島・ジャンビ産」とのこと。
現地採集されたものなのでメスは交尾済みの可能性が考えられるため、そのまま
産卵セットに投入。
1週間ほど様子を見て、変化がないなら
オスと同居させる予定です。
2025年5月12日 どんな心境?

メスは表面をうろついており産卵行動に
入っていない様子だったので、
オスの顎を縛って同居させてみることに。
同居してすぐはオスがメスを吹っ飛ばすわ、メスがオスの足を噛むわで大騒ぎに。
しかし20分ほどすると落ち着いたのか、
無事に(?)ペアが成立したようでした。
少し前まで取っ組み合いになっていたのに
それが嘘かのような状況。
ペアの成立は嬉しいのですが、
やはり人間が昆虫の心境を理解するのは
難しいのかもしれません。
翌日の早朝にもオスがメスに覆い被さって
いたので、慎重にメスを取り出し、
産卵セットに戻しました。
2025年10月19日 ついに……?

あの後にメスはすぐ亡くなってしまい、
新たなペアを6月23日にお迎え。
今度はなかなかペアが成立せずに焦りましたが、8月末にようやく成立。
そこからすぐに産卵セットを組みましたが、今度は材のカビに苦しめられました。
しばらくするとカビも収まり、メスも材を
齧りだしたので様子を見ていると、
今日になって材の表面に幼虫の姿が。
使用していたマットにも数匹見られたので、
メスだけを隔離して様子を見ることに。
幼虫はまだ小さいので、11月頭を目安に
割り出しを行う予定です。
2025年11月30日 えぇーッ!?

11月に入ってすぐに確認をしたのですが、
それでもまだ初令が多かったのでマットを
足してこの日まで放置していました。
そしてこの日におおよそ調べると、
至る所から初令幼虫が顔を出しており、
最終的に分かっただけでも
31匹もの幼虫を得られました。
今までにないくらいの大成功なのですが、
まだいる(木の隙間に隠れていたり、
誤って容器の中に2匹以上入れてしまった)
可能性もあります。
木は再びマットの中に埋め戻したので
年明けにももう一度確認の予定です。